麦味噌は主に九州や瀬戸内地方で造られています。
麦独特の芳醇な香りと甘みのある味が特徴です。
ここでは麦味噌の特徴とその効能についてご紹介します。
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麦味噌の特徴とは?
麦味噌の原料は、大麦やはだか麦で作った麦麹と大豆に塩。
麦味噌は九州地方や瀬戸内、四国などの地域で造られています。
塩分量は比較的少なめ。
麹の割合を多く造られることが多いため、麦の持つ甘さと合わせ味は甘みが強いです。
その反面、麹の量が多いことで発酵が進みやすく変色もしやすいです。
麦味噌の最大の特徴はその香り。
他の味噌に比べ麦の香ばしい、甘さのある香りがします。
特に麦の香りが強くて有名なのは「瀬戸内麦味噌」。
淡色の辛口味噌で、芳醇な麦の香りとコクが楽しめます。
九州地方では鹿児島県の「薩摩味噌」が有名です。
こちらは淡色の甘口味噌で、麦の粒が残っているのが特徴です。
麦味噌の効能
「医者に金を払うより味噌屋に払え」という言葉があるほど、味噌は健康によい食品として知られています。
医学的にも朝一杯の味噌汁が長生きの秘訣だそうです。
そんな健康には欠かせない味噌ですが、麦味噌には特に食物繊維が多く含まれています。
ここでは麦味噌の効能について解説します。
麦味噌に含まれる大麦β-グルカンがスゴイ!
麦味噌には大麦由来の食物繊維である大麦β-グルカンが豊富に含まれています。
この食物繊維にはものすごい健康効果があります。
食物繊維には水溶性のものと不溶性の2種類あります。
大麦β-グルカンは水溶性食物繊維です。
野菜に含まれる食物繊維は不溶性のものが多く、麦味噌を合わせることで両方の食物繊維を摂取することが出来ます。
大麦β-グルカンには、糖質の吸収を抑える効果があり、食後の血糖値の急上昇を防ぎます。
そのことから太りにくくダイエットにもオススメです。
また、水溶性食物繊維には便を柔らかくする効果があり、便通をよくします。
腸内環境を整えてくれるため美容効果や免疫力のアップにも繋がります。
さらにコレステロールを下げる効果もあり、麦味噌は特に腸に良い食品だと言えます。
麦味噌に含まれるアミラーゼで善玉菌が活性化
麦味噌には食物繊維以外にも腸内環境を良くする成分が含まれています。
麦麹には、アミラーゼという酵素が含まれてデンプンを分解して糖に変えます。
この働きが腸内のビフィズス菌などの善玉菌の働きを活発化させて腸内環境をよくするのです。
またコレステロールを下げる効果もあります。
まさに麦味噌は、腸をより強くする調味料と言えるかもしれません。
実際に麦味噌の消費量が多い愛媛県では大腸ガンでの死亡率が日本一低いそうです。
腸内環境を整えることで、免疫力をアップするためと考えられています。
不足しがちなミネラルを補う効果
麦味噌は米味噌と比べて約2倍のカリウムを含んでいます。
カリウムは不足すると、体がむくんだり、だるくなったりします。
また高血圧や心臓発作の原因になることもあり、精神的に不安定になり怒りっぽくなったりもします。
特に夏場は汗や尿からも排出されるので、カリウム不足になりやすいです。
カリウムはバナナやほうれん草、イモ、海藻類から摂取できますが、水溶性のため調理法によって減少してしまうのが難点です。
バナナはそのまま食べられますが、ホウレンソウやイモは、茹でてしまうとそのゆで汁にカリウムが流れ出てしまいます。
そこでオススメなのが味噌汁。
味噌汁なら、ゆで汁も一緒に飲むのでカリウムを効率よく摂取できます。
大豆イソフラボンは女性の味方
味噌には大豆イソフラボンが含まれています。
イソフラボンはポリフェノールの一種で女性ホルモンと似た働きをします。
更年期障害の症状を抑えたりホルモンバランスを整える作用があります。
また、骨粗しょう症や乳がんの予防にも効果的だと言われています。
さらに抗酸化作用もあり、アンチエイジング効果も期待されています。
大豆イソフラボンの適正な1日の摂取量は70〜75mgとなっています。
目安として、味噌汁1杯で約6mg、納豆1パックに36mg、豆乳200ml1パックなら約41mg含まれています。
その他に美容効果も期待できます。
シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を促進する活性酸素をイソフラボンは抑える働きを持っています。
イソフラボンを摂取すれば、お肌をキレイに保つことが期待できるのです。
麦味噌の歴史
全国的には米味噌の使用の割合が多く、麦味噌は九州や瀬戸内に集中しています。
なぜその地方では麦味噌が主流になったのでしょうか?
ここでは麦味噌の歴史について解説します。
米よりも麦の生産が盛んだった
日本に味噌が入ってきたのは、今から1300年ほど前のこと。はじめは高級品だった味噌。
そのまま食べたり、薬として使用されていました。
その後、すり鉢が日本に伝えられると、水に溶いて味噌汁として飲むようになったそうです。
庶民の食卓にも登るようになったのは、江戸時代になって、物流が盛んになってから。
明治期に入ってからは、味噌業界も活発になりました。
全国的には米味噌が多い中で、九州・瀬戸内・四国などの一部の地域は麦味噌を主として食べています。
稲作の裏作で麦を作ることが多く、大麦の生産が盛んだったこれらの地域では米味噌の代わりに麦味噌が作られることになりました。
九州南部では、シラス台地のため水もちが悪く稲作に向かなかったことが影響していると考えられます。
西郷どんは味噌作りの名人
大河ドラマでもおなじみの「西郷どん」こと西郷隆盛。
料理はしないものの、味噌作りは上手かったという逸話が残っています。
その味噌作りのエピソードを元に宮崎県のヤマエ食品工業が「西郷どん味噌」という商品を販売して評判も良いようです。
同じく大河ドラマにもなった天璋院篤姫。
彼女は第13代将軍徳川家定に嫁ぎますが、定期的に国元である鹿児島県から味噌を取り寄せていたという記録があります。
どんな料理に合うの?
麦味噌は、独特の甘みと麦の風味が特徴的です。
ここではどんな料理に合うのかについて解説しています。
独特の甘みが野菜にマッチ
麦味噌を使った料理といえば、鹿児島県の「薩摩汁(さつまじる)」があります。
見た目は豚汁のようですが、使うお肉が鶏肉です。
麦味噌の甘みは、野菜によく合います。野菜スティックにつけて食べても美味しいです。
愛媛県では同じ発音で字が違う「佐妻汁(さつまじる)」があります。
こちらは白身の焼き魚と麦味噌を合わせて、ご飯にかけて食べます。
いわゆる、ぶっかけご飯です。
宇和島市の郷土料理で焼き魚とみかんの皮の薬味がさわやかな料理です。
薬味にみかんの皮を使うのは、みかんの産地である愛媛県ならでは。
みかんの皮には、ビタミンや食物繊維もたっぷり入っています。
みかんの皮は漢方では薬の原料として使用されています。
豚味噌があれば、ご飯が軽く3杯は食べられる
鹿児島県の郷土料理で「豚味噌」があり、麦味噌に豚肉と黒糖を混ぜて煮詰めたもので、ご飯のお供として愛されています。
コクのある甘さで、ご飯だけではなく、調味料としチャーハンに加えたり、おにぎりの具にしたりしても使えます。
野菜スティックにそのままつけて食べても美味しいですよ。
「肉味噌」はミンチ肉を使用しますが、「豚味噌」は豚バラを使うとより旨味が増します。
麦味噌のまとめ
九州を中心造られ食べられている麦味噌ですが、栄養もたっぷりで腸内環境にとても良い調味料となっています。
特に女性にはオススメの食材なので、ぜひ試してみてください。