2018/10/17

米味噌とは?

日本人の食卓に登場する味噌汁。

使われる味噌には、その原材料の違いでいくつか種類があります。
その中でも全国的にもっとも流通しているのが米味噌です。

米味噌は、米麹を使ったみそで味も甘いものから辛いものまで様々。
生産する地域によって異なります。

このページでは米味噌の特徴や効能、歴史について書いています。

米味噌の特徴

米麹

味噌は地域によって材料や作り方が異なるため、「材料」「味」「色」を基準に分類しています。
ここではそれぞれの違いについて解説しています。

一般的に流通しているのが米味噌

国内に流通している味噌の約8割が米味噌です。
東日本や北陸、北海道、近畿地方で好んで使われています。
原材料は米麹、大豆と塩。

米麹を使うことが米味噌の特徴。
米麹は、米に麹菌をつけて作ります。
米味噌は味にクセがないのでどんな料理にも合わせやすい味噌です。

熟成期間は2週間程度のものも

色は白いものから赤みの深いものまで様々です。
豆味噌にくらべ熟成期間が短く、2週間程度から数ヶ月で出荷されるものもあります。
米麹を多く含み塩分量が少ないものは熟成期間が短くなり色も白くなります。
逆に米麹が少なく塩分量が多いものは熟成期間が長くなり色は赤黒くなります。

材料の麹が違う

材料の違いからの分類は4種類あります。
分類の基準となるのは味噌に使っている麹の種類。
米麹を使った米味噌、麦麹を使った麦味噌、豆こうじを使った豆味噌、そして、複数の味噌や麹を合わせて作った調合味噌です。

味の違いは麹の量

味の分類は甘味噌、甘口味噌、辛口味噌。
辛さは塩加減や麹の種類や分量によって左右されます。
塩分量が同程度なら麹の量が多い方が、味噌の味は甘くなります。

甘味噌は、関西圏で見かける白味噌で、麹の割合が高いことから、甘酒のような風味と甘さが特徴的です。
塩分濃度も5~7%前後と少なくなります。

甘口味噌は、瀬戸内、九州方面で主に作られています。
徳島の「御膳味噌」が有名です。
塩分濃度が12%くらいの高いものは辛口で、赤みが強い「仙台味噌」や淡色の「信州味噌」が有名です。
辛口味噌の産地は、関東甲信越や東北が中心です。

先に麹の量が多い方が甘くなると書きましたが、これを利用してパッケージをみるだけで味の違いが推測できます。
パッケージの原材料表示は、多く含まれている順に書く決まりがあり、「大豆、米、塩・・・」と表示があれば、辛口。
逆に「米、大豆、塩・・・」の順で米が先に書かれていれば甘口となります。

色は糖とアミノ酸の反応で変わる

味噌の色は3種類で分類します。

淡いクリーム色をした「白味噌」、黄色味が強い「淡色味噌」そして、赤身の強い「赤味噌」です。
色のちがいは熟成期間や温度によってかわります。

糖とアミノ酸と反応しておこるメイラード反応によって色が赤みが強くなります。
白味噌はこのメイラード反応を抑えるために、製造工程で大豆を煮て成分を水分中に溶け出させる方法をとっているところが多いです。

味噌のパッケージ表示

パッケージ

スーパーに行くとたくさんの味噌が売っていますが、そのパッケージをしっかりと見たことがありますか?

ラベルには「生味噌」「特選」「吟醸(ぎんじょう)」などの表示があります。
ラベルの表示には国で決められた基準があり、それを満たしたものだけがこのような表示をすることができます。

ここではその表示の違いについて解説します。

生味噌

生味噌とは容器につめ込む前後で、加熱殺菌処理をしていない味噌のこといいます。
殺菌処理をしていないため、酵母は容器の中で生きています。
そのため、保存中も発酵は進み色が変わることがあります。

天然醸造(てんねんじょうぞう)

味噌をつくる際に、加温によって醸造を促進したり保存料や着色料などの食品添加物を使用していない味噌のことを指します。
加温をしないため、人工的に調整し3ヶ月程度でできるものが天然醸造では1年近くかかります。

手作り

手作りと表示するためには、天然醸造を行い、さらに麹蓋方式で作った麹で味噌を作る必要があります。
麹蓋方式と言うのは、木で作ったの盆を用いて麹を作る伝統的な方法で、一度に作れる量が限られます。
そのため、手作りの味噌は大量生産するのが難しいです。

特選もしくは特撰

原材料の品質が良い、麹蓋方式を用いている、麹の割合が高い、熟成期間が長い、熟成方法に特徴があることなどのうち、どれか1つを満たしている味噌のこと。

吟醸(ぎんじょう)

農産物規格規定に定められた麹や大豆を使用して作られた味噌のこと。

今度、味噌を買うときにはぜひラベルの違いにも注目して選んで見てください。

味噌の栄養素や効能

伊達政宗

発酵食品である味噌には様々な栄養素が含まれています。

例えば、ビタミンやミネラル、ポリフェノールにアミノ酸。
医学的にも、味噌は健康に良いとされています。

ここでは味噌の健康的な役割や効能について解説します。

味噌は栄養素の宝庫

江戸のことわざに「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」というくらい、味噌は昔から薬として重宝されていました。
発酵食品である味噌は、とても体にいいのです。

大豆に含まれる豊富なビタミンやミネラル、食物繊維や必須アミノ酸など。
味噌にはたくさんの栄養素が含まれています。

赤味噌に含まれるメラノイジンという成分は、抗酸化作用があり生活習慣の予防に良いとされています。
また、ある研究によれば、味噌汁を毎日飲んでいる人は胃がんや乳がんのリスクが下がるという報告もあります。

味噌を食べていた戦国武将は長生きだった

「仙台味噌」は「独眼竜」で有名な伊達政宗が開発したものだと言われています。
彼が仙台城築城の際に建設した「御塩噌蔵(ごえんそくら)」という日本初の味噌工場で、仙台味噌が作られました。

これが「仙台味噌」の始まり。
味噌のおかげか、人間50年と言われていた時代に伊達政宗は72歳まで生きています。

また、彼は料理好きとしても知られていて、自ら厨房にも立って料理をしていたそうです。
味噌の他に「ずんだ餅」や「伊達巻」なども考案した料理なのだそうです。

政宗と同時代を生きた徳川家康も味噌に関連が深い人物です。

家康が出身の愛知県岡崎市では、豆こうじを使った八丁味噌が有名。
家康は出身地である岡崎市からこの八丁味噌を取り寄せ食べていたと言います。

常に健康に気をつけて体にいいものは積極的に食していたと言われる家康。
彼も当時としては長寿である享年75歳でした。

まさに味噌は医者いらずの万能食品ですね。

味噌に関することわざもたくさんある

先に「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」ということわざに触れましたが、他にもあります。

「味噌汁は朝の毒だし」

朝1杯の味噌汁を飲めば、体の毒を出して体調を良くしてくれるということわざです。
二日酔いで具合が悪い時にも味噌汁が良いと言われていますね。
これは、味噌の中に含まれる「コリン」という成分が、体内のアルコールの排出に作用するため効果があるからだそうです。

「味噌汁は1杯、三里の力」

味噌汁を1杯飲むと三里(約12km)歩いても疲れないということわざです。
味噌汁にはたくさんのアミノ酸が含まれています。
運動で消費したアミノ酸を味噌汁で取り入れることで疲労回復する効果があるのです。

このように味噌はことわざとして多く語り継がれています。
昔から味噌が体にいいことが、一般的に知られていた証拠ですね。

その他の味噌にまつわることわざはこちら

味噌の歴史

wooden floor

味噌の歴史は古く1300年も前の飛鳥時代の文献「大宝律令」に「味噌」が登場します。
当初は高級食材であったものの、時代を経るにつれて少しずつ庶民に広まります。

現在では日本の食卓には味噌汁は欠かせません。
そんな味噌の歴史について、ここでは解説します。

味噌は貴族しか食べられない貴重品だった

日本の味噌は、中国の「醤(ひしお)」という調味料が元になっています。
「醤(ひしお)」が熟成する前の状態の「未醤(みしょう)」が「味噌」の語源と言われています。

当時の味噌はとても貴重なもので、貴族などの上流階級のみが食せるものでした。
鎌倉時代に入って、鎌倉武士の間で味噌汁が食習慣として根付いてきました。

その後、少しずつ庶民の食卓にも味噌が浸透するようになります。
戦国時代には兵糧として重宝されました。

江戸時代には参勤交代や伊勢神宮参りなど全国的に人や物の移動が多くなり、味噌の流通も増えます。
明治期になると事業としての味噌づくりが確立されどんどん普及していきました。

味噌汁はすり鉢が伝わったおかげで誕生

味噌と言えば、味噌汁。
この味噌汁ですが、起源は鎌倉時代までさかのぼります。

この時代に中国からすり鉢が伝えられたことがきっかけです。
それまでの味噌は、大豆の粒がそのまま残った粒が大きい味噌でした。

そのため、舐めたりそのまま食べるのが主流でした。

しかし、すり鉢が入って来たことで、味噌をすり潰すことで水に溶かすことができるようになります。
これによって味噌汁が作られるようになったと言われています。

味噌の正しい保存法とは?

味噌の正しい保存法とは?

味噌は温度変化に弱いため、保存状態によっては未開封でも発酵が進み色や風味が変化します。
そのため、冷暗所での保存が適しています。

一人暮らしや味噌の利用頻度が少ない場合には困ってしまいますよね。
そこでここでは、味噌の品質を保つ保存法について解説します。

味噌は冷凍庫でも凍らない

味噌は温度変化に敏感なため、常温ではなく、冷蔵庫での保存がお勧めです。
ほとんどの方が冷蔵庫で保存していると思いますが、実は冷凍庫で保存しても良いのです。

「凍ったら料理の時に使いにくいのでは?」と不安になるかもしれませんが、そんな心配は不要。
実は味噌は凍らないんです。正確には家庭用の冷凍庫では凍りません。

一般的な家庭用の冷蔵庫は温度がマイナス20度程度。
味噌はマイナス30度くらいまでは凍らないため、味噌を冷凍庫で保存しても凍る心配は不要なのです。

一人暮らしや味噌の利用頻度が少ない場合には、品質を保つためにもタッパーなどで小分けにして冷凍庫に保存してみてはいかがでしょうか。

味噌のパッケージに入っているシートは捨てちゃダメ

味噌のパッケージを開けると入っている紙のシート。このシート捨てないでください。
なぜかというと、この紙はみそに酸素を通さないようにするためのものなのです。

味噌は酸素に触れると酸化してしまい、風味が落ちてしまいます。
味噌の品質を保つためにもこのシートをピッタリと貼って酸化を防ぎましょう。

もし、開封したときに捨ててしまった場合には、ラップで代用することもできます。
酸化を防ぐポイントとして、味噌を常に平らにしておくことも必要です。
穴を掘るようにしてしまうと、表面積が増え、酸素に触れる部分が多くなってしまうためです。

保存状態が悪いと賞味期限内でも酸味が強く味が悪くなってしまいますので注意して下さい。

味噌の上澄み液にはうま味が詰まってる

味噌を冷蔵保存していると、上の方に液が溜まっていることがあると思います。
これは「味噌溜まり」と言って味噌を醸造する際にできたエキスです。

これは悪いものではないので、そのまま混ぜてしまって大丈夫。
味噌溜まりには、味噌の旨味がギュッと凝縮されています。

卵や納豆、刺身などを食べるときに、醤油代わり使うと美味しく食べられます。

米味噌のまとめ

一口に米味噌といっても、種類や製造方法で味も風味も違ってきます。
甘口、辛口、生味噌、天然醸造など、どれも味わい深い味噌になっています。
これを機会に新しい味噌との出会いを探して見てはいかがでしょうか?

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