2018/02/04

創業135年 中村軒で味わう京都の冬の味覚“白味噌雑煮”

記事/写真:実践料理研究家 岩木みさき

 

JR京都駅からバスに乗り約30分「桂離宮前」下車してすぐ目の前にある『中村軒』。
明治16年(1883年)、今年で創業135年になる老舗の和菓子店です。

 

店内には昔ながら囲炉裏(いろり)もあり、ホッとする雰囲気。奥にはお座敷もあります。
うかがったのは夕方でしたが、和菓子を買い求めに店頭には観光客の方のみならず、
近くにお住まいの方だろうな、というお客様が絶えずいらっしゃっていました。

 

今回のお目当ては11月~2月末の冬期限定で提供される「白味噌雑煮」。
使用されている白みそは、京都の名だたる料亭や茶道の有名な流派である三千家も御用達という
山利商店(やまりしょうてん)(〒605-0837京都市東山区新宮川通五条上ル2丁目山田町499)
のものだそうです。
無添加・無着色、塩分控えめで口当たりはとてもなめらか、優しい甘みを感じられる白みそです。

 

↑「白味噌雑煮」¥930 (税別)

両手で抱える程の大きめのお椀にたっぷり注がれて提供されます。
想像していたよりも大きい!
店舗では20年ほど前から販売されており、年始には1日100食以上の注文があるという人気メニューです。
今回は平日の夕方にうかがったので、並ばずにすみました。

 

具材は、煮てとろりと柔らかくなった丸餅が2つと里芋入り。
お餅は老舗の和菓子屋さんならでは、滋賀県小佐治(こさじ)で栽培されている極上のもち米を使用、
出汁には北海道産利尻昆布を使用しています。

お雑煮は地域性が出るお料理ですが、京都のお雑煮は白みそを使用するのが特徴です。
王朝貴族が好んだ風雅な味わい、丸餅は“円満”を、里芋は“子孫繁栄”“頭になる=出世”を願い、
お雑煮の具材として使用されています。

 

↑「私共の店で削った削りたてのかつおぶしです お雑煮にお入れ下さい」のメッセージ

 

そのままでも甘みとコクがしっかり感じられるお雑煮ですが、
お店で削ってくださるかつお節をふりかけて風味の変化を楽しんで食べても美味しいです。
かつお節も本枯れ節を使用。今回は後半に加えていただきました。
白みそ=甘いとイメージされる方が多いかもしれませんが、大豆と麹の優しい甘みとコクを感じる白みそは、
昆布やかつお節の出汁にもとても合います。

ガチみそはじめ白みそは普段も使用していますが、本場京都で白みそ雑煮を食べたのは初めて。
その土地に訪れることで、地域で愛されている本当の味に出逢えることが、
現地訪問の楽しみの1つでもあります。

 

↑1箱/2人分 ¥650(税込)

白味噌雑煮は、店舗でお土産として購入することが出来ます。
店舗で召し上がったお客様から「美味しい」というたくさんのお声、
また上京しているお子様にお正月には京都ふるさとの味を送りたいというお客様のお声から、
2017年より販売開始になりました。
ご丁寧に、美味しい作り方の説明書きも同封されています。
「極上の食材を集めたこだわりの白味噌雑煮は、セットになっていることで手軽に美味しく作ってもらえます。
ぜひ一度お召し上がりいただきたいです。」と中村軒の奥様がお話しくださいました。

 

白味噌雑煮以外にも、昔から変わらず同じ製法で作られている名物「麦代餅(むぎてもち)」や
夏季にはかき氷などの甘味も味わうことができるそうです。
駅から少し離れていますが、素材や季節を大切に1つ1つ手作りされている老舗。
京都に行かれた際はぜひ立ち寄っていただきたいお店です。

 

「御菓子司 中村軒」
営業時間:販売7:30~18:00 茶店9:30~17:45ラストオーダー
定休日:水曜日(祝日は営業)
アクセス:JR京都駅からバス 桂離宮前 下車
住所:〒615-8021 京都府京都市西京区桂浅原町61
Tel:075-381-2650
HP:http://www.nakamuraken.co.jp

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