日本全国のご当地みそをご紹介する、第2回目の今回。
日本列島を南下していくにつれ、豆みそや麦みそが多く作られている地域も見られるようになります。
Part1に引き続き、多彩なみそたちが登場しますよ!
[江戸甘みそ]
甘口の米みそ 色:赤
蒸した大豆を用いるため色は濃い赤褐色。米麹の割合が高いため濃厚な甘みと光沢があります。
関東地方は気候に恵まれており、みその使用頻度は、寒冷地ほど高くない傾向にあります。
◇みそを使った東京都のご当地料理には「味噌田楽」「深川丼」などがあります。
[東海豆みそ](愛知、三重、岐阜)
豆みそ
名古屋みそ、三河みそ、三州みそ、八丁みそなどの呼称や銘柄で呼ばれ、中京地方を中心に製造されている豆みそ。濃厚な旨味と渋み、わずかな苦みがある。
八丁みそはもともと岡崎城から八丁(約870m)の範囲内で製造されていたみそのことを言います。
◇みそを使った東海地方のご当地料理には「どて煮」「みそ煮込みうどん」「五平餅」「とりモツのみそ鍋」などがあります。
[関西白みそ]
甘口の米みそ 色:白
「西京みそ」としてもよく知られ、主に京都で作られている甘みそ。皮を取り除いて煮た大豆と精米度の高い米を用いるため色は白や、上品な黄金色です。色がつかないようにするため、空気との接触を断って熟成発酵させます。米麹の割合がとても高く、強い甘みが特徴で、塩分量が少ないことから長期保存には向きません。
王朝時代の貴族たちの嗜好から生まれたみそと云われています。
◇関西白みそを使ったご当地料理には「白みそ雑煮」「西京漬け」「懐石料理」などがあります。
[府中みそ]
甘口の米みそ 色:白
皮を取り除いた大豆を原料とした白や、クリーム色の甘みそ。きめ細やかで豊かな風味とコクで好まれ、関西白みそと並ぶ白色甘みその代表格です。
江戸時代からその美味しさが全国に知られるようになりました。
◇みそを使った広島県のご当地料理には「カキの土手鍋」などがあります。
[讃岐みそ]
甘口の米みそ 色:白
濃厚な甘みがある豊かな風味は、京都の白みそや広島の府中みそと並ぶ人気の白甘みそ。
◇みそを使った香川県のご当地料理には「あんもち雑煮」「どじょう汁」「魚(サワラなど)のみそ漬け」「わけぎあえ」などがあります。
[御膳みそ]
甘口の米みそ 色:赤
蜂須賀公の御膳に供されたのが名前の由来と云われています。塩分は辛口みそと変わりませんが、麹の割合が高く、豊かな旨味を感じます。
[瀬戸内麦みそ]
甘口の麦みそ
米みそ圏と麦みそ圏が交差する地域で好まれる麦みそ。特に愛媛で作られる麦みそは、麹の割合が高いため、麦独特の芳香と軽やかな甘みがあります。
[薩摩みそ]
甘口の麦みそ
麦みその中でも比較的短い熟成期間で作られ、淡い色をしています。麦麹の独特の香りが強く、麦麹の粒が残っているのが特徴です。
[九州麦みそ]
甘口の麦みそ 色:淡色~淡赤色
麦みそが主流の九州で主に作られているみそで、田舎みそとも呼ばれます。大麦や裸麦から作られた麹を使用。麦麹の割合が高く、塩分はやや低めなので強い甘みと、独自の香りがあります。温暖な気候のため、熟成期間は比較的短めです。甘口が多いですが北部では辛口もあり、現在では麦麹に米麹を混ぜた「合わせみそ」の生産も増加傾向。
◇麦みそを使ったご当地料理には、「さつま汁」「からしれんこん」「冷や汁(宮崎)」などがあります。
日本全国ご当地みそPart1、2いかがでしたか?
解説を読みながら、それぞれのみその味を想像されたのではないでしょうか。
旅行や出張などでは、訪れた先のご当地料理を食べるのが醍醐味だったりしますよね。何を食べようか迷ったときには、みそを使った料理を堪能しながらその土地のみその味を確かめてみるのもひとつの楽しみ方です。
『みそ探訪記』のオススメコーナー「みそ巡り」「みそめし」では、みそ探訪家・岩木みさきが実際に全国各地に出向き、数々のみそ蔵やみそ料理のお店を訪問させていただいたときの記録を発信しています。
みその味だけでなく、蔵元さんやオーナーのお人柄、どんな気持ちでみそに向き合っているのかを知ることで、もっとみその魅力を感じてもらいたいという強い想いが込められています。
読んで楽しんでいただくだけでももちろんいいですし、旅や料理の際の参考にしていただけるとさらに嬉しく思います。