2019年3月23日に開催した醸すパーティーpart3
みそ探訪をきっかけに日本各地で出逢ってきた
伝統を継承している素敵な方々、伝統製法を未来に残していきたいと2017年から開始。
醸すパーティーは「発酵」をテーマに3つの想いで開催しています。
①日本の伝統的な調味料を知っていただきたい
②生産者様と交流する場を作りたい
③日々の中に取り入れてもらい、未来に残すサイクルを作りたい
今年のテーマは「こうじ」。
こうじは発酵、日本の伝統的な和食を支える調味料を造り出すには欠かせない存在。
でも、耳にしたことはあるものの “こうじ” って何?
料理教室のレッスンや講演をする度に、そう思っている方が多いことに気が付きました。
味噌の話をする際にもこうじの話は欠かせません。
味噌、醤油、みりん、酢、酒を紹介していく前にまずは基本からお伝えしようと思い、今年のテーマに決定。
今年は告知1回で40名以上の方にお申込みいただき、増枠し参加者・ゲスト・スタッフで80名の規模となりました。
お越しいただきました皆様、心より感謝申し上げます。
パーティーの始まりは“お味噌汁”
お越しいただいた皆様に、私が出来るおもてなしはやっぱりお味噌!ということで
今回は木桶仕込みのガチみそ8種ブレンドのスぺシャル味噌汁を作りました。
適当に混ぜたわけでなく、旨みと甘みととろみと香りと…色々なバランスを考えて配合!
出汁は昆布を少々使用。味噌たちの個性のおかげで深い旨みと香り高い味噌汁に♡
この日は肌寒かったから「嬉し~、ホッとする~、温まる~、美味しい!」のお声が聞けて良かったです。
ゲストトーク
今回のメインゲストは、愛知県西尾市西幡豆にあるみやもと糀店の宮本貴史さんにお越しいただきました。
宮本さんはもともと農家としてスタート、今では米麹、麦麹、豆麹の3種全てを造られている珍しい糀屋さんです。
ご自身でもお米や大豆も栽培されていますが、
各地の信頼できる農家さんと契約し無農薬や減農薬の材料を使われています。
麹作り以外に醤油や味噌作り講座も開催されており、シーズンで80回近く開催、約1000人が訪れるそうです。
【麹菌は日本の国菌】
2006年に日本醸造学会にて麹菌は日本の国菌に認定されました。
和食を支えている調味料の味噌、醤油、みりん、酢、酒などはすべて麹菌あって造られています。
【麹作り】
穀物(米、麦、大豆など)を洗って水に漬ける → 蒸す → 種付け(麹菌という菌(粉状)をふりかける)
麹菌を30~40℃程で約24時間育む → さらに約24時間
→48時間後に完成= “出麹(でこうじ)” → 枯らし(乾燥)
*麹は自分で勝手に熱を上げて死んでしまうため、温度管理をしっかりしてあげる必要があります。
この麹が勝手に熱を上げるタイミングを見極めて、作業を判断していくのが職人の技なのです。
*種付けする際の菌の種類により、
デンプンを分解して甘みを造り出したり、タンパク質を分解して旨みを造り出したりします。
【日本の伝統調味料は麹から出来ている】
*麦麹 + 豆麹 = 醤油
*米麹 or 麦麹 or 豆麹 = 味噌
*米麹 = みりん
*米麹 = 酢
*米麹 = 酒
*こうじとは、麹菌が持つ酵素=ハサミを使って
お米や麦のデンプンを分解して甘みを作ったり、大豆のタンパク質を分解して旨味を造り出しているのです。
【2種の漢字】
「麹」:中国で発生した文字、原材料に麦を使用
「糀」:日本で作った和製漢字、主な原料は米
私たちが当たり前のように使っている味噌も醤油も、麹がなければ造れないのです。
麹を造るための “麹菌” を造っている “もやし屋さん” は日本に6ヶ所だけ。
ここですべての醸しものを生み出すための菌が造られているのです。
さらに特別ゲスト!奥様でいらっしゃる醤油ソムリエールの黒島慶子さんにもご登場いただきました。
慶子さんは全国の醤油蔵を巡り醤油本の著者でもいらっしゃいます。
(私のみそ探訪のきっかけになったおひとりです♪)
新婚旅行という名の発酵旅をされていて、今年から「miyamoto」の名で活動されています。
Quramotoのこうじ料理
東京で発酵食や伝統調味料を日頃から楽しんでもらえるよ!といいうこともお伝えしたく
今回は普段からとてもお世話になっている「Quramoto753 発酵・醸造キュイジーヌ」@東京・都立大学駅
の辻シェフにお料理をお願いさせていただきました。
麹は料理に旨みの深みをつける、身体を疲れさせないとお話してくださった辻シェフ。
何度も相談し、1品ずつ「これは何だろう?」「何の麹を使った料理?」
が分かるように提供しようとなり、今年は1品ずつ提供させていただくスタイルに。
前半は麹ってなんだろう?と興味を持って楽しんでいただき
後半は宮本さんのお話を聞いて麹について理解を深めた後に楽しむ流れにしました。
◆前半料理
「自家製醤油と豆乳のお麩サラダ 新生海苔とルッコラの花芽」
春の香りと優しい味わいからスタート。
「醤油おからと納豆の春雨 長ねぎの香り」
醤油おから旨い!のお声を沢山いただいた1品。
発酵調味料を造る際に出る カス は旨みがぎゅぎゅぎゅーっと詰まっているのです。
「稚鮎と発酵バターのリエット 本みりんとみりん粕」
今回1番人気!沢山の方に美味しかった!と言っていただいた1品。
皆様、みりんの魅力にお気付きになったのではないでしょうか??(来年のテーマはみりんかな?)
「不耕地栽培 五分づき米の黒いおむすび 発酵麻炭梅干し」
麻炭は胡麻の様な風味で食べやすい。Quramotoに伺うと一面麻炭の壁になっていますよ!
「伊予柑の甘酒フローズン(スタッフ:発酵料理研究家 真野遥さん考案)」
春らしく優しい黄色に仕上げていただきました。さっぱり爽やかな味!
▶レシピはこちら(真野遥さんオフィシャルサイト)
https://www.harukamano-jozo.com/gallery
◆後半料理
「宮本さんのひよこ豆みそ使用 あん肝・いちご・アーモンドの白和え ひよこ豆みそのたまり」
濃厚な味わいのスプーン。みそにフルーツやナッツ、合うんです。
「宮本さんの麦塩麹使用 鶏むね肉の真空低温調理 麦茶マリネ レバーソースを添えて」
鶏むね肉、しっとーーーりやわらかかった。
「宮本さんの塩麹使用 紫のあわあわ 発酵卵と紫人参のTKC(たまごかけカッペリーニ)」
1人1人に器に触れていただきたくて人数分の器をご用意いただきました。
器って見ているだけよりも、お料理を盛って触れてみると印象が変わります。
「宮本さんの虹色米使用 生カカオと甘酒のローチョコレート」
(これ、食べ損ねてしまったやつ。皆様感想教えて下さい!笑)
Quramotoはカウンター席がメインのテーブルは1席なので、ぜひ予約必須で伺ってください。
最新情報はLINE@ @wfq7395b で配信されていますのでご確認下さい*
食べ比べ
宮本さんのお話を聞きながら、後半料理がスタートする前に学びの時間。
食べ比べをすると、考えながら味わい新しい発見や気付きが色々。
蒸したお米や大豆をそのまま置いておいたら腐ってしまうのに
麹と合わせると美味しくなって、保存可能になるって、凄い!まさに先人の知恵。
*塩麹:米麹使用
*甘酒:米麹使用
*醤油麹:米麹使用
*みりん粕:米麹使用
*味噌:米・豆麹使用
※お家で実践しやすいレシピは改めて公開予定です♪
有田焼JAPANシリーズよりCHERRYの器2色
有田焼ギャラリーガレリア645@東京六本木 オーナーである西城鉄男さん。
今回は春のイメージに合わせ、有田焼JAPANシリーズCHERRYの桜色ヤエとソメイの2色をご提供いただきました。
ARITA PORCELAIN LAB(アリタポーセリンラボ)は
有田最大規模の窯元「弥左ヱ門窯」から生まれた新しい食器ブランドで、有田焼の伝統を活かしながら、
現代のライフスタイルに合わせたシンプルモダンなデザインを展開されています。
実際に持ってみると軽くて扱いやすく、優しい光沢が色々なお料理に合わせやすいと思います。
サイズや種類、色味も桜以外にバリエーションがあるので、気になった方はぜひギャラリーへ伺ってみてください。
岡山県真庭の発酵ツアーとまにわ発酵’s日本酒2種とクラフトビール
醸すパーティーでは私のテーマである“実践”を取り入れるべく、
イベントで学んだら現地に行ってみよう!と毎年ツアーも企画しています。
真庭市は味噌・醤油・酢を1ヶ所で作る蔵元、軟水と硬水で造る日本酒、チーズ、ワイン、ビールと
1つの地域に醸しものが集まっているとても珍しい地域です。
今年はこの真庭市へ行きますよー!
※10名様限定ツアーあっという間に満員となりました。
ご興味ある方はツアー後にごはん会を開催予定ですので、そちらにぜひお越しください。
情報はみそ探訪記記事、パーティーにご参加された方には個別にご案内させていただきます。
(写真左)
*〈大正の鶴 RISING 60 特別純米〉/株式会社 落酒造場
低温熟成させた円熟味の特別純米酒。
飲み続けられる食中酒をコンセプトとし常温からぬる燗~熱燗まで幅広く楽しめるのが特徴。
「RISING」は、岡山県代表の朝日米の朝日と作り手の落昇氏の酒造りの挑戦をかけて名付けられています。
アルコール度16°、日本酒度+2.0、酸度1.5
使用米 備前朝日米 / 精米歩合 60%
(写真中央)
*〈酒粕スペシャルエール〉/ 美作ビアワークス
御前酒さんの純米大吟醸の酒粕を使用。
工場ができたのが2018年4月末で本格的にビール作りから1年弱ではあるものの
域とのコラボも含めたこれからのビール作りを期待されています。
(写真右)
*〈gozenshu the silence Cry Baby 純米無濾過生原酒 中取り〉/御前酒蔵元 辻本店
七代目蔵元・辻総一郎氏と姉の杜氏・麻衣子氏が醸す「静寂」と「音」の日本酒。
岡山を代表する雄町米、長きに渡って呼吸をする蔵、それら全てが静寂の中の音となり、
その「音」に耳を傾け、蔵人がその音を聞いた時初めて生まれるお酒。
アルコール分:16°、日本酒度+1、酸度2.1
使用米 岡山県産雄町米100%使用 / 精米歩合:65%
昨年のパーティーで仕込んだ醤油の絞り
写真は、塩水に醤油麹を入れて昨年のパーティーで仕込んだもの。
1年という時間をかけて美味しくなる。
圧はかけずにもろみの自然な重みだけで絞ります。ふわ~と良い香り。
いつも一緒のちび桶も、隣に展示♪
参加者の皆さんと共有出来て嬉しい限り!
最後はお買い物の時間
醸すパーティーを通してお伝えしたいこと
味噌をはじめ、継承されてきた伝統あるものを未来に残したい。
時代が変わっても、昔ながらの製法で造られている調味料は日本食・和食に欠かせないものだと思うから。
世界に誇れる食文化を、日本人として自分の言葉で話せる日本人が1人でも増えたらなと思うから。
でももっと単純に、私は知らないことを知ることが楽しい。
もっと知りたい!という好奇心と探求心が止まらないんです。笑
一生かけても全てを知ることは出来ないと思うけど、自分が与えていただいた時間の中で、
何気なく過ぎていく時間も日々の人との出逢いも、大切にしながら、精一杯過ごしていきたい。
醸すパーティーの学びや出逢いをきっかけに
日々の中で実践してもらえるヒントを見つけてもらえたらいいなと思います。
知ったことをぜひご自身の言葉で3人にお伝えしてみて下さい。
知っているのと理解しているのは大きな差があって、自分の理解を深められます。
そしてあなたの言葉が未来に紡ぐ道をつくっていきます。
溢れる想いを持った方々の言葉がもっともっと届いてほしい。
素敵だなと思うものを、みんなで一緒に未来に紡いでいきたい。
私に出来ることは食を「お伝えすること」そして「お繋ぎすること」。
ただひたすらに、コツコツと。
こうじを使って味噌や醤油、みりん、酢、酒はどう造られているの?
そう思った方、ぜひ来年以降醸すパーティーにお越し下さいね*
来年も3月に開催予定です。皆様のお越しを心よりお待ちしております!
最後になりましたが、毎年会場を特別にお貸しくださるスタジオフィオーレ オーナーの片岡様。
今年も大変お世話になりました。スタッフ様方の細やかなお心遣いに、感謝申し上げます。
そしてサポートくださったスタッフの皆様。
皆様がいるから今回も開催が出来ました。いつもありがとうございます。
~Special Thanks~
*宮本貴史
みやもと糀店HP http://miyamotokojiten.com/
*Quramoto753 発酵・醸造キュイジーヌ
HP …Coming soon ※公開になりましたら更新致します※
*西城鉄男
ガレリア645HP https://www.galleria645.com/?fbclid=IwAR1I-wXebfuM6x-EecaVuK3JILIFD8zxJW7F6zGgmeVNgldrW78eEKXhZPU
JAPANシリーズCHERRY https://aritaware.com/c/series/series-japan/series-japan_cherry
*まにわ発酵’s https://www.facebook.com/maniwahaccos/
*岡山県真庭観光局 https://www.maniwa.or.jp/
*スタジオフィオーレ/片岡哲さん http://www.st-fiore.com/
*渋谷のおうちギャラリー/有働ひろみ https://capeanne-shibuya.com/
*カメラマン/さくらいしょうこ https://www.facebook.com/foodphotosaku/
*料理家・セラピスト/奥村美沙 https://www.turn-turn-turn0.com/
*発酵料理家/真野遥 http://www.harukamano-jozo.com/
*石野真美子
2019.4.4
実践料理研究家・みそ探訪家/岩木みさき
【追伸】
会場に紺色の傘をお忘れになった方がいらっしゃいましたらご連絡下さい。
私の方でお預かりしております!