「みそコラボ」は、岩木が素敵だなと思う方々にみそとコラボしていただく企画です。
今回は「発酵料理研究家 真野遥さん」にご登場いただきます。
毎日お酒を飲むわけではないのですが、お酒は好きです♪
そして結構飲めるタイプです。笑
日本各地を巡るようになり、せっかくなら地酒を飲もうと、会食では日本酒率が高くなりました。
遥さんは日本酒蔵を巡る他、微生物の研究まで追求して行う発酵料理家さん。
私は個人的にも、お仕事の時でも、日本酒のことであれば彼女に色々教えていただいています。
遥さんのみそを使った日本酒に合う料理、ぜひ作ってみてくださいね!
”日本酒”はお好きでしょうか?
突然ですが、みなさん”日本酒”はお好きでしょうか?
昨今は日本酒ブームと言われており、テレビや雑誌で特集が組まれたり、
毎週末のように全国各地で日本酒イベントが行われたりなど、大きなムーブメントが起きています。
近年、日本酒は急激に品質が向上し、手軽に美味しい日本酒を飲めるようになり、
さらには気鋭の若手蔵元の登場や、モダンな味わい、デザイン性の高いラベルなど、楽しみ方も多様化しています。
しかし、まだまだ日常的に日本酒を楽しんでいる方は多いとは言えず、
また、話題の酒蔵に注目が集中する傾向もあり、
全国に約1,600あると言われている酒蔵の件数は、減少の一途を辿っています。
みそと同じく、日本酒も危機的な状況に瀕しているのです。
私は「日本酒×発酵食料理」をテーマに料理家として活動しており、
料理教室やレシピ開発、日本酒イベントにおける料理監修、日本酒ライターなど、
幅広く活動させていただいております。
これまで50件以上の酒蔵を訪問し、その経験から”発酵”そのものに興味を抱き、
現在ではみそ、醤油、みりんを初めとした、伝統的な発酵食品の研究にも、力を入れています。
それらを通じて気付いたのが、「発酵食品を使った料理は、日本酒と相性が良い」ということ。
なかでも、みそと日本酒は、抜群に相性が良いのです。
実際に、私は日本酒に合わせる料理の味付けに困った時は、
「困った時のみそ頼み」と言って良いほど、みその力に頼ることが多々あります。
例えば洋風の料理でも、少しみそを加えることで日本酒に寄り添う料理に変身するのです。
みそは、言わば「日本酒と料理の接着剤」と言っても過言ではないかと思います。
そこで、今回は”日本酒”の視点から、みそについて、少しお話させていただこうと思います。
みそを使った料理は日本酒に合う!
みそも日本酒も、同じ「麹」から造られた発酵食品です。
麹の酵素の力により、米のデンプン質や大豆のたんぱく質が分解され、
その過程で糖やアミノ酸が生成されることで、特有の旨味や甘みが生み出されます。
また、どちらも「酵母」が関与しており、酵母は香り成分やアルコールを醸してくれます。
どちらも麹由来の甘み、旨み、香りを持っているからこそ、お互いの味が喧嘩しにくいのですね。
ただ、一口に「みそ」、「日本酒」と言っても、種類はさまざまです。
みその場合は、米麹、麦麹、豆麹と、どの穀物に麹菌を付けるかにより、種類が異なります。
米麹のみそは優しい甘みがあり、麦麹のみそは独特の香りがあり、
豆麹のみそは強い旨味があるなど、それぞれの味に特徴があります。
麹歩合や熟成期間、製法によっても味は異なり、みそはJAS規格で分類するのが困難なほど、様々な種類が存在します。
一方、日本酒に使用する麹は米麹のみですが、製造工程の複雑さゆえ、製法によって味が異なり、
さらに、酵母の種類によって香りも大きく異なってきます。みそと同様に、熟成による味の違いもあります。
そこで、みそと日本酒の味の合わせ方のポイントを、味の種類別にご紹介したいと思います。
もちろん、みそに限らず、他の食材にも応用が効く考え方なので、是非ご参考になさってみてください。
合わせ方ポイント① 色の濃淡を合わせる
お酒と料理を「色で合わせる」という考え方は、ワインの世界では一般的です。
「白身魚には白ワイン、肉料理には赤ワイン」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは日本酒にも共通することで、淡い色の料理に透明な日本酒を、
濃い色の料理に黄色味がかった日本酒を合わせてみると、相性が良いことが多いです。
つまり、色の淡いみそには透明な日本酒、色の濃いみそには黄色味がかった日本酒を合わせると、相性が良い場合が多いのです。
みそも日本酒も、発酵熟成中に起こるメイラード反応により、色が濃くなっていきます。
それと同時に、旨味が増したり、酸味が現れたり、特有の熟成香が生まれたりします。
そのため、色が似ているものは味の共通点があるため、相性が良いのですね。
例1: 浅葱の酢みそ和え(白みそ) × すっきりした日本酒
例2: どて煮(豆みそ) × 旨味の強い日本酒
ただし、どんな種類であっても、みそは基本的に「コクと旨味」を持っているので、
あまりにドライですっきり過ぎる日本酒は、みその味に負けてしまう場合があります。
そのため、コクと旨味がある日本酒をベースに、味の濃淡、酸味や渋みなどの特徴を合わせてみるのがオススメです。
合わせ方ポイント② 地域で合わせる
色濃く現れる地域性もみその魅力のひとつであり、
仙台みそ、信州みそ、東海豆みそ、西京みそ、九州麦みそなど…ご当地みそをあげれば枚挙にいとまがありません。
同様に、日本酒にも地域性があり、沿岸部の日本酒はすっきり淡麗な味が多く、内陸部の日本酒は濃醇な味が多い傾向があります。
そして、同じ地域の食材と日本酒は、相性が良いと言われています。
つまり、同じ地域のみそと日本酒は、相性が良いことが多いのです。
例1: 精白した丸米を使用した、さっぱりとした「越後みそ」 × 新潟の淡麗辛口な日本酒
例2: 上品なコクと甘みのある「関西白みそ」 × 伏見の軟水仕込みの柔らかな口当たりの日本酒
このように、みそと日本酒を地域で合わせてみるのも面白いかと思います。
日本酒に合う!オススメみそレシピ
日本酒と相性の良いみそレシピをご紹介させていただきます。
これからの季節にぴったりの、カプレーゼ。
トマトとモッツァレラチーズを使った、イタリアの料理です。
「カプレーゼに日本酒!?そもそも、どこにみそを使っているの!?」と思われるかもしれません。
しかし、これぞみその真骨頂。イタリア料理まで、日本酒のおつまみにしてしまうのです。
秘密は、みそで漬けたモッツァレラチーズ。
みその旨味がギュッと染み込んだクリーミーなモッツァレラチーズは、日本酒と相性抜群です。
トマトの酸味が加わることで、ピチッと酸味の効いた夏酒(夏季限定の日本酒)にもぴったりなんですよ。
レシピ:みそ漬けモッツァレラチーズのカプレーゼ
【材料】(3〜4人分)
【a】みそ 大さじ2※
【a】酒粕 大さじ2
モッツァレラチーズ 1個(100g)
トマト …2個
塩 …適量
ブラックペッパー …適量
オリーブオイル …適量
スプラウト …適量
※みそは米みそか麦みそでしたら、どんなものでも大丈夫です。
(ただし、関西白みそは塩分濃度が低いため、みその使用量を1.5倍にしてください。)
【作り方】
1.ボウルに【a】の材料を入れ、よく混ぜ合わせる。
2.ラップに1を薄く広げ、水気を拭き取ったモッツァレラチーズを乗せる。
ラップでモッツアレラチーズを包み、ギュッとねじる。輪ゴムなどで縛り、冷蔵庫で一晩以上置く。
3.トマトは7mm幅の半月切りに、2のみそ漬けモッツアレラチーズは表面のみそを拭いとり、
7mm幅の半月切りにする。(漬け終えた酒粕みそは、みそ汁に入れると美味しく頂けます。)
4.器にトマトとみそ漬けモッツアレラチーズを交互に重ねて並べ、塩とブラックペッパーを振りかける。
オリーブオイルをまわしかけ、中央にスプラウトを飾る。
夏にぴったりの、簡単みそ料理。是非お試しください。
美味しく飲んで食べて、日本の伝統ある発酵食品を次の世代にも繋いでいきましょう。
【プロフィール】
大学卒業後、専門商社を退職し、フードコーディネーター資格を取得。
レストランの厨房や料理研究家アシスタントなどの経験を積み、2016年5月にフリーランスとして独立。
日本酒に合う料理の提案を中心に、レシピ開発、商品開発、料理教室講師、日本酒ライターなど幅広く活動している。
大好きな日本酒をきっかけに、発酵文化の素晴らしさに開眼。
全国の酒蔵、味噌蔵、醤油蔵などの醸造所を訪ねてまわっており、これまで訪問した酒蔵は50件以上。
新宿御苑前のキッチンで、「日本酒マリアージュ料理教室」を主宰している。