記事/写真:実践料理研究家 岩木みさき
京都駅から電車で約30分JR山陰本線(嵯峨野線)並河駅、京都府亀岡市にある
京丹味噌醸造元「片山商店」は白みそ造りをされている今年で創業50年のみそ蔵です。
今からちょうど2年前、私がみその世界の扉を開けた初期に訪問させていただいた蔵の
1つが片山商店さんでした。
2度目となる今回の訪問も夜行バスに乗り出発!
東京から京都までは夜行バスで約7時間、平日を狙えばあの京都へもお値段安く行くことができるのです。
岩木は基本バス活用、今回は往復¥3700のみそ探訪です。
今では数少ないと言われている木桶仕込みのみそ=ガチみそⓇ。
ガチみそⓇをイベントの題材にしようと、勢いで蔵訪問をはじめた時に「白みそは色が付きやすいから木桶で仕込むのは難しい。もう、作っているところはないと思うよ」そんな風に言われる中、色々な方のご縁でご紹介いただき出会ったのが片山商店さんでした。
創業者の片山秋雄さんは、NHK総合「ごちそう賛歌」にて白みそ造りの名人としてご紹介されたこともある方です。福井県の中学校を卒業後、京都市内のみそ屋さんで修行された秋雄さんは、佳水の地、京都丹波・亀岡市で30歳の時に独立、創業されました。
何の実績もない、ただただ「木桶仕込みの白みそを探してきました!」という私を、「よくいらっしゃいましたね」と温かく迎えてくださった方です。
店舗には沢山の表彰状やトロフィーも飾られています。(平成25年京都府「現代の名工」 受賞)
そしてこちらが専務の片山宏司さん。
白みそ造りをされて32年、ガチみその商品販売でもいつも大変お世話になっています。
お電話をすると「岩木さん、おおきに!」といつも伝えてくださるとっても優しい方です。
今回もお忙しい中お時間を作ってくださり、製造現場と貯蔵蔵をご案内いただきました。
製造現場の見学。みそ造りにかかせない麹は、通常よりも多く磨きをかけているそうで、自社で精米してすぐに使用することもこだわりのひとつだそうです。
みそ造りは麹作りから始まっているといってもいいくらい、とても大切な作業です。
特にこだわりのあるみそを造るときの麹には昔ながらの器具“もろ蓋”を使用されているのも、片山さんのおみそ造りの特徴です。
現在は5種をベースに、20種類の白みそを造り分けられているそう。白みそ文化の京都では、様々なお店で白みそが使われているので、ご要望に合わせて種類も色々になっていったとか。年々需要が増えてきており、ファンがしっかりついてきてくれているそうです。
白みそは通常のみそに比べると塩分濃度が低いため、甘みがある反面、管理するのが大変だともお話くださいました。
白みそを購入後は冷蔵保存が基本、使ったらすぐに冷蔵庫に入れるのが美味しく食べられる大切なポイントです。色や風味を損なわないためです。
ガチみそⓇで商品にしていただいている白みそも原料や製法にこだわっていただいた特別仕込み。原料の大豆は北海道産の鶴の子をメインに、お米は北陸系、塩は国産を使用。
麹歩合は20割、塩分濃度は4%台なのでとっても甘いのです。熟成期間は1ヶ月で、商品にする際はより白さと口あたりを考慮し桶周りのみそは使用せず、中央の“とろみそ”と呼ばれる部分のみを使用してくださっています。
2年前では分からなかった用語が理解できるようになっていたり、お話できることが増えていたり、時が経って改めて訪問させていただくことにとても意味があるなと感じた訪問となりました。
店舗には、白みそだけでなく、京都丹波の黒豆を使用した黒豆みそや麹歩合の高い甘めの赤みそや米こうじみそ、麹や甘酒、漬け物なども販売されています。
地域の村まつりや小学生の芋掘り大会のときには汁物を、年末年始には神社で振る舞われる甘酒に1回20kgを30年間無料で提供されているそうです。
今後はもっともっと白みそ造りを極めたいと語って下さった片山さん。
私も白みその活用方法を追求していきたいと思います。
片山商店さんのこだわりの白みそはこちらから購入できます。
「片山商店(京丹味噌醸造元)/京丹波 六右ヱ門(店舗)」
営業時間:平日9時~17時30分
定休日:土、日、祝日
アクセス:JR嵯峨野線 並河駅より徒歩10分
住所:〒621-0013 京都府 亀岡市大井町並河3-8-11
Tel:0771-23-6665 fax:0771-22-6977
HP:http://www.kyotanmiso.jp/