醸造に使用されてきた日本の伝統 木桶
味噌や醤油の仕込み容器として、昔から使用されてきた木桶。
今や木桶を使用してつくられる醸造物は全体の生産量の1%以下と言われています。
希少と言われているけれど、その実態は不明確。
料理に携わる仕事をしているのだから、美味しい調味料をずっと使い続けたい。
長い歴史の中で受け継がれてきた、日本の伝統を繋いでいきたい。
そのためには、生産と消費のサイクルを創ること。
日本酒や醤油について活動する方がいらっしゃったので、私はみそを選択しました。
日本で誰も知らない木桶仕込みのみそ蔵の数。
「木桶で造られているみそ蔵の数を明確にしたい」
そんな想いで、木桶仕込みのみそを「ガチみそ」と名付け、日本全国を探訪し数を数えるということをしています。
▼岩木が今まで巡ったみそ蔵リストはこちら
https://misotan.jp/greeting-from-iwaki-misaki/
木桶は1本を作るのに、木を木材に加工し乾燥させるのに1年、
箍(たが)という竹で作る部分も竹を取ってから加工するのにこれも時間が必要です。
今では竹藪を管理する方が減ったので、長さのある竹を見つけるのも簡単ではないそうです。
木桶で仕込むと微生物が住み着き、その蔵ごと味わいを生み出します。
木桶は微生物たちにとってより良い環境を作り出してくれるものなのです。
木がやせたり膨らんだり、カビなどの管理をするのが大変ですが、
60点の時もあれば200点の時もあって、面白いんだと木桶を使われている蔵元さん達はお話されます。
木桶もすし桶やお風呂の桶など大きさは様々ですが、
醸造用の大きな桶=大桶を作れる職人さんが大阪の藤井製桶所さん日本で1ヶ所となり、
なんとかしなくては!と立ち上がったのが香川県小豆島のヤマロク醤油山本康夫さんによる
「木桶職人復活プロジェクト」です。
▼木桶職人復活プロジェクト
http://yama-roku.net/yamaroku/oke-project.html
日本の伝統“木桶”が渋谷ヒカリエd47に展示開始
毎年1月に数本の大桶を作り上げているのですが、
2018年12月5日(水)よりその1本が渋谷ヒカリエのd47に展示開始となりました。
私がヤマロク醤油さんにはじめて伺ったのは2015年。
桶作りには2017年、2018年と参加し、今年の夏にはガチみそ蔵の皆様とも訪問しました。
今も、2018年1月完成への制作が始まっています。
2009年に可能な限りの借金をして、桶屋さんに「新桶」を9本発注することにした山本さん。
もう後がないと覚悟を決めてのこと、醤油屋から新桶の発注が来たのは戦後初だったそうです。
木桶は100~150年使用出来るとされていますが、
現在使われている醸造用の木桶は戦前に作られたものがほとんどのため、
約50年後にはほぼ全ての木桶が使えなくなってしまう可能性が高いのが現状です。
そうなると、伝統的に継承されてきた和食を最大限に引き立てる本物の基礎調味料が無くなるという事です。
「先祖代々受け継がれて来た伝統を残すということは、言い換えれば「味の記憶」を残すということでもあり、
それは先代に対する感謝の思いを後生に「繋ぐ」ということでもあります。」
山本さんはそうお話されます。
木桶作りに携わっている方、搬入をサポートされた方で記念撮影。
オフショット。
同じ想いを持つ方々といると、心から楽しいって思える。
良いと思うものを伝えることは否定を生むわけではなく、
良さに感動し、好きになり、それが毎日の食卓の美味しいを生むのであれば幸せなことだと、単純に思っています。
私は職人さんが好き、蔵が好き。
蔵ごとにあるストーリーは揺るがずにそこにずっとあるもので、お話を伺う度に感動が起きる。
だって、今の自分のやっていることが代々受け継いで100年以上継続するって、凄いと思うから。
「継続」に価値があると思っています。
それは日本国外、海外からもとても評価されている日本の誇れる部分です。
ヤマロク醤油 山本康夫さん
熱い想いのある、愛に溢れた温かい方です。そしておちゃめです♪
東京 渋谷ヒカリエ8F d47に展示されている木桶をぜひ見に行ってみてください。
日本が誇れるもののひとつ「木桶」に会えます。
渋谷ヒカリエ8F d47