2018/03/02

全国ご当地味噌汁~北海道編~

北海道の味噌汁は海の幸がいっぱい

ご当地味噌汁は、味噌グルメの中でも地域性があらわになるメニュー。北海道の味噌汁は、何と言ってもさまざまな海の幸を使用することが大きな特長ではないでしょうか。贅沢に海の幸を使用した味噌汁は、「北海道の味噌汁って贅沢!」「北海道の味噌汁っておいしい!」と、実はひそかな人気メニューなのだとか。豊かな自然と海の幸に恵まれた、北海道ならではの味噌汁をご紹介いたします。

鉄砲汁(てっぽうじる)

北海道では、ハナサキガニ、タラバガニ、ズワイガニ、毛ガニとさまざまな種類のカニが漁獲され、北海道ではいろんな種類のカニ料理を楽しめます。そんなカニを使用したご当地味噌汁が「鉄砲汁」。「鉄砲汁」というメニュー名の由来は、カニの足をほじくりだし食べる様子が、鉄砲の弾を詰める姿に似ていることから名づけられたそうです。

鉄砲汁は、根室市の花咲港で水揚げされたハナサキガニを使用したものが有名ですが、多くカニ味噌をもつ毛ガニでは濃厚な味わい、甘みが強いタラバガニでは身の甘さと味噌汁の塩気のマッチングを楽しめるなどと、カニの種類により違った味わいを楽しめるのが特長です。

作り方は、まずカニは好みのカニを使用。(生カニ・ボイルしたカニ・缶詰・食べ終えたカニの殻でもOK.)。そのカニを水から煮立たせ、アクを取ります。煮立ったらネギ、豆腐などの好みの具材を入れます。カニの塩分が強いため、味見をしながらやや少なめの味噌で仕上げます。

 

三平汁(さんぺいじる)

三平汁は、塩鮭と野菜を煮込んだ汁もの。身とアラを使用し、素材の味を引き出した塩ベースの味付けとされていますが、味噌仕立てで仕上げる家庭も多いようです。

三平汁の由来は諸説あります。現在の北海道松前郡松前町にあった松前藩家臣の斉藤三平が、奥尻島で振る舞った汁から名づけられたというもの。または、斉藤三平が狩りの最中に漁師から振る舞われた汁を気に入り名づけたとも言われています。

味噌仕立ての三平汁の作り方。まず、昆布のだし汁でネギや大根、ニンジンやジャガイモなどの野菜を煮立てます。塩鮭を入れ煮立ったら、味噌と酒粕で仕上げます。

 

たち汁 (鱈の白子の味噌汁)

たち汁は、鱈(たら)の卵=白子を具材にした味噌汁。白子の濃厚でクリーミーな味が良く分かる味噌汁です。鱈は、「魚」編に「雪」とあるように、旬は冬の魚。北海道の家庭では、100cm前後とおおぶりで高級魚なマダラではなく、40cm~70cmとやや小ぶりで安価のスケトウダラが使用されます。そのため、「すけ汁」などと呼ばれている地域も。小ぶりとはいえ、白子の味わいは遜色ないため、スケトウダラが重宝されているようです。

たち汁の特長は、具材が白子と薬味のネギなどとシンプルにすること。また、白子は、加熱し続けると溶けてくるので、新鮮な白子を使用することがポイントです。また、北海道の南部では、味噌ではなく醤油で仕上げる汁ものとして食されているようです。

作り方は、まず具材を入れず、味噌汁を作ります。新鮮なスケトウダラの白子を、水か塩水でやさしく洗い汚れを落とします。その白子を味噌汁に入れ、火が通ったら出来上がり。

 

あど汁

あど汁は、鮭の頭とわた(内臓)を使用し、大根おろしをのせた味噌汁。北海道の沿岸地域で昔から愛されている漁師めしです。

作り方は、まず小さく切った鮭の頭とわたを、たっぷりの湯であくを取りながら煮込みます。次に、ネギやニンジンなどお好みの野菜を入れます。鮭の頭が柔らかくなったら味噌で味付けをし、お椀に盛りたっぷりの大根おろしをのせていただきます。

 

カジカ汁

冬が旬で、産卵のため沿岸部に生息するトゲカジカを使った味噌汁です。こちらも古くから愛されている漁師めしのひとつ。鍋物として食される事も多く、鍋を囲むとあまりのおいしさゆえ、箸で鍋をつつきすぎて壊れるということから、別名「鍋こわし」とも呼ばれています。

作り方は、まずカジカは、ぶつ切りにして塩をふっておきます。大根、ニンジン、ジャガイモなどの野菜は一口大の乱切りに、豆腐は食べやすい大きさに切っておきます。昆布でとっただし汁に、カジカと野菜と豆腐を入れ、アクをすくいながら煮込みます。具材がやわらかくなったら、酒と味噌で味付けをし、もういちど煮立てて完成です。

 

ごっこ汁

ごっこ汁は、北海道南部で食される漁師めし。ごっことは、主に北海道で収穫されるホテイウオと呼ばれる魚です。ゼラチン質が多く身はプリプリとしており、内臓を除いて骨まで食べられる魚。北海道のスーパーでは、既に下処理とカットされたものが販売されていることも多いよう。家庭によっては醤油味に仕上げるところと味噌味に仕上げるところに分かれるようです。

作り方。オスのごっこの場合、腹側に包丁を入れ、肝臓(=キモ)と白子以外の内臓は捨てます。メスのごっこの場合は、同じく腹側から包丁を入れ、卵と肝臓以外の内臓は捨てます。そして、卵を取り出し、塩を振って水で数回洗いながらほぐしておきます。※取りだした肝臓や白子は別の料理で使えます。

そして、湯通しし浮き出たぬめりと汚れを水で洗い流します。昆布で取っただし汁に、骨ごと一口大に切ったごっこを入れ、アクを取り除きながら煮立たせます。大根、長ネギなどと一緒に、メスの場合は卵を入れ煮込みます。再度アクを取りながら煮立たせ、酒と味噌、または醤油で味付けします。生のりを入れて煮立たせたら出来上がり。薬味のネギを盛りつけていただきます。家庭によっては、具材にジャガイモやわかめを、臭み消しに生姜を入れるところもあるようです。

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