味噌の慣用句、味噌で人のあり方を正す

庶民にはかかせない味噌で人のあり方を正す

江戸時代に入り、みそが庶民にかかせない食物→食べ物となった時代。ことわざや慣用句が多く生まれました。ことわざは文章や句の体をなしていて、それのみで簡潔な意味を示します。慣用句は二つ以上の語から形成され、個々の語の意味とは別の意味を句全体で持つものをいいます。

今回は、味噌の慣用句をご紹介。人の性格やさま、人の情けないところや恥ずべきことなどを表した用例が多いような気がします。

自家製の味噌のこと。かつて味噌は自家製が当たり前で、食べなれた自家製の味噌が一番おいしい、と思うことから自分や身内のことを一番良いと自慢すること。

自家製の味噌（手前味噌）を並べ、出来のよさ、おいしさを自慢しあったことから、自分や身内を褒めたり自慢すること。自画自賛すること。

つまらないもの、役にたたないもの。くだらない、つまらない自慢話を盛んにすること。

かつて、味噌は火傷などの傷に付けると治るとされていた。火傷は、しくじったときや間違いを起こした時におこることから、失敗した時にみそを付ける=失敗する、面目（めんぼく）を失う、という意味となった。

音を外した声やひどい声で歌うため、聞くに堪えないという意味。「悪い声で歌うとみそが腐る」ということ。

まだ漉（こ）してない味噌を擂り鉢に入れてすりこぎですること。お世辞などを言ったり、媚びたりと、相手に気に入られるような振る舞いを指す。

四角い重箱でみそを擂ると四隅まで行きとどかない。きちんと擂れずに味噌が残ることから、大雑把で細かい点にこだわらない。道具や方法は立派だが不適切で役に立たないという意味。

将棋の香車（きょうしゃ）の手すじのひとつ。香車は前方に何マスでも動ける駒。飛び越えては行けない香車を使って縦に並んでいる相手方の2つ以上の駒を取りにいくこと。

普段は、調子の良い事などを話すなどしまりのない人が、ときに真面目で硬いことをいうこと。

得意そうに。得意気に。という意味。

良いもの悪いもの、価値のあるもの価値の無いものも一緒だと扱うこと。

「その道の人」という雰囲気を在り在りと出しており、かえってうさんくさい。通ぶった雰囲気をいやらしく醸し出している、という意味。

価値のあるものとつまらないものの区別がつかないこと、その様子。糞味噌ともいう。

貧乏な武家や旗本の御用人のことを、ばかにした言い方。

外見は強そうだが、実は気の弱い人のこと。

意気地のない人、弱い人をばかにした言い方。

直訳すると、味噌をこした後の残りかす。子どもたちが遊ぶ仲間の中でも、一人前として扱ってもらえない小さい子どものこと。

味噌は精進ものの食事をする寺院では貴重な食品。粒みそをすり鉢で擂るのは一番若い修行を始めたばかりの僧の役目だったことから、新米、新人を指す意味。

幼児の乳歯の前歯に生じる歯の状態。乳歯が欠けて虫歯になっている状態や、黒色や茶色に変色している状態のこと。

そこがポイント、要点、という意味。自慢できるところ、工夫趣向を凝らしたところ、押さえておきたいところ。